先ほど、強い雨が降ってきましたが、
東京も台風の影響が心配になってきましたね。
今日は午前中、緊急の電話相談が入りました。
知人の友人の妻が
朝、自転車に乗って会社に向かう途中で
トレーラーにはさまれて大怪我され、入院した。
トレーラーの運転手さんは全面的に自分の過失を認めている。
運転手の方の保険会社からは、労災を先に申請してほしい。
そうすれば、個室の差額ベッド代金も支払うし、
労災で不足してた保障を補うので、その方がお得です。
と、提案された。
実際のところ、
自賠責保険と労災とどちらを先に使ったらよいのかわからない。
何かアドバイスを!
という内容でした。
少し解説が必要ですね。
通勤途中の自動車事故でケガをした場合は、
自動車保険の「自動車賠償責任保険(自賠責保険)」も請求することができますし、
自分の会社で入っている労災保険にも請求することもできるのです。
同時に二つの請求をする権利はありますが、
自賠責と労災は調整されますので、
(自賠責保険が適用されているときには、労災は支給されません)
入院日をWで受取ることはできないのです。
労災が適用されるような交通事故の場合、
自賠責保険(国土交通省管轄)と労災保険(厚生労働省管轄)の
どちらが優先して支給されるのか、については
法律上の規定はないんですぅ。
省庁内では自賠責を先に使ってね、という行政通達はありますが、
民間人には関係ありません。
どちらを先に使うかは、各人の判断に任されているんですよ。
そこで、労災を先に使った方が良いのか、
自賠責保険を先に使った方がお得なのか、
どっちがいいの?
という、先ほどのご相談になるわけです。
このケースでは、労災を使った方が良いと思いましたので、
その旨を伝えました。
自賠責保険には上限があります。
傷害の上限は120万円です。
今回のように入院は2ヶ月近くになりそうで、
後遺症も心配されるような大きな事故では、
治療費用がかかります。
自賠責保険の上限近くまでこちらを使ってしまうと
本来もらえるはずの自賠責保険の慰謝料がもらえなくなってしまうのです。
労災では支払いの対象にない通院交通費や諸雑費なども
自賠責保険の120万円の枠が残っていれば
払ってもらえます。
ですから、労災を先に使ったほうがお得!だと思ったのです。
また、労災を使うということに
「会社に迷惑がかかる」と心配する社員さんもご家族もいますが、
今回の場合のように通勤災害であれば、
事業主としての責任を取られたりすることはまずないと思われ、
迷惑がかかるようなことはないと思う、とお伝えしました。
(会社も快く労災申請の手続をしてくださると後から聞きました)
以上は、私の知識の範囲での意見です。
以前、損保の代理店をしていたので
自賠責には、一応の知識はありますが
労災のことならば、社労士さんの専門分野です。
ご心配でしたら、詳しい社労士さんを紹介しましょうか?
と
最後にお伝えしました。
そこまでする必要はないとのことで、
電話を切りました。
時には、こんな内容のご相談もはいるんですよ。
命には別状はないとのことでしたが、
一刻も早い奥様のご回復を心からお祈りしています。